2010年代後半、日本に「サウナルネッサンス」とも言える第三次サウナブームが訪れました。
火付け役はテレビや漫画、SNSなどのメディア。
従来の「健康」「癒し」という枠を越え、「ととのう」という言葉がサウナの代名詞になりました。
今や若者や女性、ビジネスパーソンまでがサウナをライフスタイルの一部として楽しむ時代。
今回は、第三次ブームがどう生まれ、どんな価値観で広がっていったのかを探っていきます。

第三次ブームとは?
第三次サウナブームは、2010年代後半から、現在まで続くサウナ人気のことを指します。
ブームの中心にあるのは「ととのう」という体験。
サウナ→水風呂→外気浴を繰り返すことで得られる深いリラックス状態が、SNSやメディアを通して広く知られるようになりました。
これまでのように「健康維持」や「癒し」ではなく、感覚のピークを味わうことが目的に変わったのが大きな特徴です。
サウナは単なる入浴法から「心のメンテナンスツール」へと進化しました。
メディアとSNSが生んだ「ととのう」ブーム
第三次ブームの背景には、メディアとSNSの力があります。
特に2010年代後半、サウナをテーマにした番組や漫画が人気を集め、一般層への認知を一気に押し上げました。
『サ道』が生んだ共感の輪
転機となったのが、2019年に放送されたドラマ『サ道』です。
原作漫画の世界観をそのままに、サウナで「ととのう」瞬間を丁寧に描いたことで、多くの人が「自分も体験してみたい」と感じるようになりました。
登場する施設が実在したこともリアルさを高め、サウナ愛好家=「サウナー」という言葉も浸透。
サウナが特別な趣味ではなく、共感できる日常体験として広がったのです。
SNSが広げたリアルな体験共有
Twitter(現X)やInstagramでは、サウナ―たちが「#ととのった」と写真や感想を投稿。
これが口コミのように広がり、ブームを加速させました。
特にSNSでは、誰もが自分の「ととのい方」を発信できるのがポイント。サウナ室の温度や外気浴の景色、サ飯(サウナ後の食事)など、個々の楽しみ方が多用に紹介されることで、サウナの魅力が可視化されていったのです。
結果として、施設側もSNS映えを意識した演出やデザインを取り入れるようになりました。
サウナ施設の進化と個性化
第三次ブームでは、施設のあり方そのものも大きく変化しました。
特に注目すべきは、「体験の質」を追求する施設が増えたことです。
ここでは、その特徴をいくつか見ていきましょう。
小規模・個室サウナの登場
従来の大浴場型から、プライベート空間を重視した個室サウナが登場。
利用者が温度や照明、音楽を自由に設定できる「自分専用のサウナ」が人気を集めています。
人目を気にせずリラックスできるため、女性や初心者にも利用しやすく、サウナ体験の裾野を広げました。
また、仕事帰りに短時間で利用できる「都市型サウナ」も増え、日常の中に自然とサウナが組み込まれるようになっています。
地域性を活かしたサウナの多様化
地方では、その土地の自然や文化を活かしたサウナづくりが進んでいます。
たとえば川沿いで外気浴が楽しめるリバーサイトサウナや、森林に囲まれたテントサウナなど。
地域の木材や温泉を活用する施設も増え、「その場所でしか味わえないサウナ体験」がトレンドになっています。
現代のトレンド:サウナは文化へ
第三次ブームの中で、サウナは1つの「カルチャー」として根付きつつあります。
サウナ後の「サ飯」を楽しむ人、外気浴中に瞑想を取り入れる人、仲間とテントサウナを楽しむ人。
それぞれが自分に合ったスタイルを見つけています。
さらに、
・サウナ×音楽(サウンドサウナ)
・サウナ×アート(体験型イベント)
・サウナ×ワーケーション(ととのいながら仕事)
といった、新しい試みも登場。
サウナは今や、ただ汗をかくだけではなく、「人と人」「自然と自分」を繋ぐコミュニケーションの場としても機能しています。
まとめ
第三次サウナブームは、「ととのう」という感覚を通じて、サウナを再定義した時代です。
メディアとSNSが生んだ共感の輪は、施設の多様化や文化的な広がりをもたらしました。サウナはもはや一過性のブームではなく、自分を整える時間として日常に根付いています。




